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散歩する犬

夢をみていた

目を覚ました瞬間

泡のように消える儚い夢なのに

いつまでも胸の奥が熱かった

これは懐かしさなの

それとも切なさなの

割り切れない気持ちを引きずったまま

新しい一日を迎える

カーテンを引いたような薄闇の朝が

それでもお早うと言っている


冷気の中 主人の後をついて足を引きずる

黄ばんだ毛色の大きな犬とすれ違う

その瞳は穏やかな光を湛えているけれど

竹箒の様に不細工で太い尻尾は

折れた耳と同じ様に垂れ

昔のようにピンと元気よく振られることも無く

大きな体を揺らす様に主人の後をゆっくりと歩んでいく


ねえ そういう事なんでしょう

見知らぬ瞳に向かって問いかけるが

彼は何も答えず

軽く足を引きずったまま立ち去って行くけれど

私は遠ざかるその背中に尚も問いかける

きっとそういうことなんだね


そして小さな優しい想いを君から貰うんだ

またひとつこうやって大切なものを

今日も一日貰っては過ごして行くんだ
by _kyo_kyo | 2011-11-04 02:43 | | Trackback
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