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この世でさよならする愛しい存在に向けて

花火

去年の夏の初めにたんたんを亡くし、私はペットロスに陥ってしまった。

泣いてばかりいては彼が悲しむからと思うそばから新たな悲しみが押し寄せ、

その反面、自分勝手な悲しみにばかり捕われている己に自己嫌悪も感じていた。


彼が死んで、胸の中心に大きな穴が開いたみたいで、

何をしていてもいつもたんたんの姿が思われて仕方なかった。

その一方で、彼がいないのに今までの様に笑うことのできる自分もいて、

少しずつ彼との思い出が風化して行くであろう未来を思い、

そんな未来を許すであろう自分を薄情だとも感じていた。


一時は、あまりの苦しみから、私を置いていってしまったたんたんを酷いと思い、

庭で眠る躯は彼の抜け殻でしかなく、そういった「モノ」になんの意味もないと言うのに、

そこに固執しようとしている自分を見出しもした。


神なんて信じないし、死後の世界も信じないのに、

たんたんにいつか再び会いたいと切望し、

彼の無垢な魂の失われたと言う事実を認めたくはなかった。


時間を巻き戻せたならと、どんなに願ったことだろう。

ほんの数分前まで、私に抱っこをせびって甘えていたのに、

一瞬で命をむしり取られ物言わぬ躯となってしまった。


彼の体は土の下で今はきっと白い骨になったことだろう。

命の灯は尽きたけれど、たんたんの存在は私の中でずっと輝いている。
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by _kyo_kyo | 2008-07-31 01:03 | 呟き | Comments(4)

気持良い風

クーラーの気持良い風に吹かれながら、一時夏の暑さを逃れる。
火照った体が少しずつひんやりとしてくると、
暑い夏の夕暮れに、顔も知らないみんなのことを考えたりなどする。
そうして小学1年生の頃に文通していた、
血の繋がらない山形の従姉妹のことがだぶって思い出される。

手紙ではとっても仲が良かったのに、
早く会いたいねって話していたのに、
実際に会ったらお互い何も話せなかった。
その子の妹や弟の方が懐いて来て一緒にいっぱい遊んだっけ。
私達お互いあまりにも子供だったもんね。
そうして、私は配慮とか気配りとか全然出来なかったんだよね。

もう二度と会うことはないだろうその子に、
また会っても、やっぱりなんて言葉を掛けて良いのかきっと分からないと思うのだけれど、
そんな自分を情けないと思いながらも、
そんな風にしか出来ない自分の限界を感じている。
きっと私はそんな風にしか生きられない。
それは子供時代を経て今もきっと変わらないよね。

家に戻ってから、母にその子が方言を気にしていたようだと聞いたっけ。
酷い寄り目なのも、私と打ち解けられなかった原因だとも聞いたっけ。
妹も弟も同じように寄り目で、でもその子が一番目立っていた。
翌年手術をしたと聞いて、大変だけれど良かったなあと思ったりもしたなあ・・・


ひんやりした風が気持良い。
火照った頬を冷やしながら、ぼんやりした頭で考える。
そんな風にしか生きられないかも知れないけれど、
それでも昔よりはもうちょっと口下手でなくなったし、
他人に気を遣うこともできる様になったと思うんだ。

それは、他の人から見たら全然なってないかもしれない。
それでも私の中ではやっぱり大きな変化なんだよね。
少しだけ自分を薄めることで、
もう少し他の人のことを思いやれるようになっていく気がするんだ。

だから・・・
もしも顔も知らない人達に出会ったとしても、
今のこの気持ちが変わることはきっと無いと思うな。

自分が心を開けばきっと通じるものはあると思うんだ。
絶対とは言えないかも知れないけど、
それでもどんな諍いしてる人とだって個人的に話をすれば優しくなれる、
それって普通のことだよね。
何だか言葉にするとおかしいかもしれないけど、
私にとってはその気持ちが一番大切なんだよね。
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by _kyo_kyo | 2008-07-26 18:26 | 雑記 | Comments(8)

あの時話しかけたのは

あの時話しかけたのは

あれは確かにあなた

知らない振りして

小走りでするりと脇すり抜けた

おかっぱの髪揺らしながら

そのままの若い鼓動で


送ろうか

この季節の輝きを

歌おうか

この眩しい日差しを


季節はいつも懐かしく

遠ざかる情景の中にとり残されたまま

蜃気楼のように近づいたかと思えば

また遠ざかっていく


ガラス玉に閉じ込められた気泡のように

思い出が密やかな溜息を漏らす

透き通った輝きが

共鳴してちりちりと音を立てる

時折取り出して鈴のように振ってみると

耳打つ音色に懐かしい景色が

幻のように浮かんでは消えた


ひと時の静寂の中を

甘くほろ苦い思い出が

さらさらと流れていく

誰かの立てた笑い声や

そっと流されたままの涙が

閉じ込められた時間の中で

結晶となって光っている


通り過ぎた透き通った季節の中に

そっくりそのまま閉じ込められて

今も変わらず輝いている
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by _kyo_kyo | 2008-07-25 08:46 | | Comments(0)

歌声

歌声は何処へ流れる

遠く何処か見知らぬ土地の

澄んだ目をした誰かの

耳元にまで流れ行く

風の流れに身を任せ

記憶の中をずっと旅する
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by _kyo_kyo | 2008-07-18 09:58 | 呟き | Comments(4)

紙のおさかな -さざめき

鉛筆が滲んで読めなくなったノートの切れ端

音の出なくなったハーモニカ

留め金の壊れたブローチ

飲みかけのラムネ

色鮮やかなチョコの包装紙

遠い季節の中に

みんな全部置いてきた


色紙にクレヨンで描かれた魚達

口にはゼムピンがついて

磁石の釣竿に釣られては

ひらりひらり宙を舞った

その目はクレヨンで白く塗られ

ハサミで切り抜かれた姿もいびつなままで


誰かが色紙の魚を釣ると

子供達は顔を輝かせながら駆け寄って

思い思い好き勝手なことを言い合い

先を競いながら釣竿に手を伸ばす

その小さな手からはどれも

汗とお日様の匂いがしていた


「この魚水槽で泳ぐ?」

誰かの問いに

「ばか言ってら」

と声が上がる

「そうだね泳げたら素敵だね」

そう言いながら釣り上げられたばかりの

黒い金魚のわき腹をつついてみる
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by _kyo_kyo | 2008-07-11 18:32 | | Comments(2)

雲の中で

心の底を曝して

ずんと覗き込んで

そのままひっくり返って

大地に寝転がったまま

青空を眺めていよう


大きな雲を眺めながら

空の中に飛び込んで行こう

輝くように白い

穢れの無い雲の中で

思いっきり泣こう


黒い涙が

雲を黒く染めて行くのを

じっと見つめながら

優しい雲の中に溶けてしまおう
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by _kyo_kyo | 2008-07-11 18:03 | | Comments(0)

漆黒の女王

黒いレースの裾なびかせながら

何処までも闇を彷徨う漆黒の女王

その唇から零れるのは裏切りのバラード


月は満月

砂糖菓子のベールを被り

星を従えしずしずと雲の群を進む

夜露のように滴る水晶の雫


夜のしじまに一際高く聞えるのは

家を亡くした野鳥の叫び

あれは鳶それとも・・・


夜遊びの過ぎた子供達が

急ぎ足で夜のページを駆け抜けて行く

街灯の隙間にこだまする黒い足音が

塗り潰された影と共に

何処までも追いかけて行く


闇に閉ざされた半身から

覚醒への半身へと

夜の女王はレースの裾なびかせながら

裏切りの歌で夜の闇を埋め尽くしている
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by _kyo_kyo | 2008-07-10 01:29 | | Comments(0)

回りながら踊りながら

くるくる回りながら散り行く枯葉

あなたが一杯のコーヒーなら

その中にスプーンをひょいと差し込んで

この枯葉の様にくるくると回してみようか


流れるように踊るように

枯葉の様にあなたの中に

このスプーン差し込んで回して

あなたも私も回りながら踊りながら

移ろいゆくこの世界の中で乱されて


ポーカーフェイスのあなたは

派手な仮面をつけていつまでも踊る

赤い舌出して笑うお化けや

黒い涙流して泣き喚く怪獣を

身の内に一杯隠しているくせに

普段と変わらないその横顔が

今日は何故か少し心許なげで


あなたをそんな怪獣達と一緒に

一杯のコーヒーに閉じ込めて

スプーンで掻き混ぜながら

舞い落ちる枯葉の様に

くるくると回してしまおうか


何もかもが不確かなこの世界で

あなたも私も枯れ葉のように

回りながら踊りながら

何処までも流され続け

踊りながら乱され続けて
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by _kyo_kyo | 2008-07-08 07:39 | | Comments(0)

上空で小鳥が

上空で小鳥が一生懸命鳴いている

その囀りが耳の奥に響いてくる

小さな命の小さな歌声


黒猫が尾をひゅんひゅん揺らしながら

目の前をしなやかに駆け抜けて行く

猫の命が燃えるようなパワー曝しながら

駆け抜けて行く


強い命の輝きと

優しい命の煌きと

白い雲の流れ眺めながら

唯詠うよ


何もかもが思うように行かない毎日の中で

何度も迷い戸惑いながらも

ただ流されるんじゃなく自分の意思で進みたい

振り返った時、自分に後悔だけはしたくない

だからどんな醜態さらしたって平気さ

自分に正直でありたいんだ


残された日々を指折り勘定し続けるより

まだ見ぬ明日を夢見ていたい

傲慢かもしれない

自分勝手かもしれない

それでも後悔しない自分を

一つ一つ積み重ねて生きたいんだ


夢はいつもゆっくりと訪れては

子守唄のように私の内側にそっと流れ続ける

その感覚に身を委ねながら

確かな明日を予感している


不確かな現実と確かなリアルの狭間で

野に咲く花のように

風の気まぐれに揺れながら

このままずっと詠っていこう
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by _kyo_kyo | 2008-07-07 18:34 | | Comments(0)

海と空と

あなたの眠る海に

足を浸し

あなたの眠る海で

波に戯れる


あなたの眠る海と

私の見つめる空が

一つに重なり

大きなうねりが

薔薇色の雲と共に

あなたの夢を運ぶよ


在りし日の記憶が

蜃気楼の様に薔薇色に染まり

穏やかな夢に包まれる頃

遅い夕闇が別れを告げる
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by _kyo_kyo | 2008-07-01 20:48 | | Comments(0)