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夢見るダイヤモンド 15

「じゃあ、やっぱり断られたんだ」隆史のその言い方に思わずむっとする。
「それは違うでしょ。断られたんじゃなくて、もう一度よく考えてって言われただけだもの。それに、やっぱりって何よ、まるで最初から相手にされてないみたいな言い方じゃない」
隆史は美沙の抗議などどこ吹く風といった様子だ。食器棚からポテチの袋を持って来ると、ビリッと破いて無造作に手を突っ込んでは口の中に放り込む。
「だってそうじゃない。そんな売れてる人が、知り合ったばかりの美沙の依頼をほいほい引き受ける訳ないでしょ」
テレビでは女優さんの白魚のような指が、塗箸を上品に使って御馳走に舌鼓を打つ姿が映し出されている。
「私の指はあんなに綺麗じゃないもの、今更指輪なんて作ったってどうせ無駄だわよね」
「おいおい待てよ、何もそんなこと言ってないだろ」怒って立ち上がろうとする美沙の腕を隆史が掴む。
「汚い手でさわらないでよ」ポテチの油の浮いた指で掴まれるのは我慢できない。カッとなって隆史の手を乱暴に振りほどくとさっと外に飛び出した。

街灯の明かりで通りは明るいけれど、今日は人通りの疎らなのが有難かった。
自分が隆史にひどい言い方をしたという後悔よりも、今は彼の無神経さがどうしようもなく腹立たしかった。
流れ落ちる涙は、悲しいからなのか、悔しいからなのか、それとも怒りからなのか、恐らくそのどれもが当てはまる事だろう。
ただ一言相談したかっただけなのに、と思うそばからまた悔しさに新たな涙が溢れた。
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by _kyo_kyo | 2011-10-19 01:56 | 小説 | Comments(0)

言葉を

言葉を風に乗せて

はらはらと飛ばせたなら

どこまでも舞いながら

いつかは世界の果てまで辿り着くだろうか

幼い頃憧れた 褐色の肌の

びーどろ色の目のひとが

皺だらけの笑顔で佇んでいるのが分かるだろうか

世界はどこまでも果てしなく広く

私の言葉は世界を舞って行く

希望という憧れを乗せて
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by _kyo_kyo | 2011-10-16 15:51 | 呟き | Comments(2)

ここにいる

掬い取った

流れた

こぼれる瞬間 煌めいた

そして流れた


差し伸べた手は行き場を失くし

引き返すことも出来ず

ひらひらと宙を舞う

舞いながら彷徨う様は

ほら 秋風に舞う銀杏の様だね


季節は巡るよ

私も あなたも

どんどん次の舞台へと押し出されて行く

落葉の様に あてどなく

けれど決して引き返すことは無い
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by _kyo_kyo | 2011-10-05 21:29 | | Comments(2)