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浴室

湯気に溶かされ

ため息が胸の奥より生まれ出る

湯船の中で蕾の様に

つぼめた両手をゆっくり開くと湧き上がる

親指姫のようなため息だ


今日の自分は湯気の中だんだんと薄れ

小さな浴室は果てなく煙る霧の世界と化し

雲の中を彷徨うが如くに

何処までも迷い込んでしまいそうで

時計の針は止まり

現実は内側からどんどん追いやられて

溶けだした自己が湯船いっぱいに溢れていく


外から冷気が流れ込むと

靄の掛かった視界はたちまちのうちに開かれ

世界は再び色を持ち

時計の針と共に鮮やかに蘇る

水栓を抜けば湯船に溶け込んだ一日が

勢いよく渦を描きながら排水口へと流れ込んでいく

火照る体を寒い位の冷気に晒しながら

新しい一日の目覚めを知ろう
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by _kyo_kyo | 2012-12-26 10:51 | | Comments(4)

前に進む道は

何時から人を

信じられなくなったの

ずっと夢の中で

温もりを感じていたかった

けれど過去に戻りたいなんて

決して思わない

だって

前に進む道は

どんなに険しくたって

乗り越えられない筈がない


死にたいと

人は簡単に口にするけれど

この世から消えることは

そんなに簡単なことじゃないし

自分が消えたって

何も現状は変わらないって

分かっているのだから

もうこれ以上

愚痴を言うのは止めよう


何時だって今の自分は

少し哀しくて

けれど誰よりも

もっと光りたいと望んでいる

ねえ

あなたもきっとそうでしょう


夢を見たよ

きっと綺麗な夢だったと思うの

でも目が覚めたら

もう何も思い出せない

何も思い出せないんだよ

どうしてかな

でも理由なんていらないよね


夢はこれからも見れるし

忘れたらまた違う夢を見れば良い

前よりも極上の夢を

見て行くんだって決めたのだから


歩き続ける道が

何処へ向かっているのか

分からないけれど

過去は振り返らない

決して強い人間なんかじゃない

それでも自分で決めたんだ

ずっと前を見て歩いて行こうって

悔いの無い自分に向って行けるかな

世界中の人に後ろ指差されても

唾吐きかけられても

自分の道を歩いて行けたなら

それがたった一つの

私だけの真実
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by _kyo_kyo | 2012-12-12 04:33 | | Comments(12)

悔恨

崩れかけた時を握り潰し

男は呟いた

もっと強く握り潰せると

誓いながら時の扉を超えた

両の目からは

誰よりも赤い涙が流れ続けた


傷口は癒えること無く

涙は滴る血と

区別がつかなくなった


越えられぬ物など無いと

誓いながら超えた扉なのに

握り潰せぬ時が

男の足どりを重くしていった

そのまま時間の壁に塗りつぶされそうで

男は一時目を閉じると

そのまま

彫像のように立ち尽くしていた
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by _kyo_kyo | 2012-12-07 03:30 | | Comments(2)

混濁

波のように揺れているのに

心の中は誰も覗けない

いつも夢は幻のよう

現れたかと思えば溶けてほどける


感情と理性のはざ間で

夢と希望を混濁させたままの

濁った現実を飲み干そう

リアルの味は苦く

ぴりりと舌を刺すけれど

そこにするりと溶け込んだ夢は限りなく甘く

寧ろ毒の様な魅力を放っている


追いかけても決して追い付けない

手を伸ばせば共に奈落の底まで落ちるか

一人暗闇の中に佇んだままの自分を見出すばかり
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by _kyo_kyo | 2012-12-04 03:18 | | Comments(2)