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いろはにほへと

オルガンの音に合わせ

小学5年の木造の教室の中で

みんなの歌声が一つとなり

ふわっと輪を描いた

「いろはにほへどちりぬるを」

輪唱という言葉も耳新しく

少しえらくなった様な気がした

覚えたての言葉や歌が嬉しかった

何より

どんどんみんなと歌声の一つになって行く過程が

ただ気持ち良かった

同じ歌にパートがあり

何層もの声を重ねることで

違った歌の様に聞こえることも

新鮮な驚きだった

あれが私の歌との出会いだったのだろう

厳しかった恩師も既に亡く

会う機会も無いクラスメートの幼かった顔が

ちらほら浮かんでは直ぐ消えるが

歌が私を引き戻してくれる

木造の校舎の中で

一際オルガンの響く教室よ

坊主頭や、おかっぱ頭、お下げの

思い思いに揺れていた

あの懐かしく輝いていた日々よ








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by _kyo_kyo | 2014-02-11 18:54 | | Comments(4)

果肉

名も知らぬ花を踏み散らし

遠ざかる未来を眩しい思いで追いかけた

世界はこんなにも大きくて

未知との遭遇で成り立っているというのに

私はまだここにいて

佇んでいるばかりの己の姿に

背伸びして捥いだ真っ赤な柿の実が重なる

それは少し熟んでいて

裂けた皮から汁が腕にまで伝って

甘い汁が毀れていった

甘くて けれど苦い汁

世の中はそんなものだと思っていた

花は踏みつぶされ

命は数多の嘆きの中で磨り潰されて行くだけの存在

汁は甘いようで

結局は苦味だけを残し舌を刺す


けれど感情はバームクーヘンの様に

数多の層を重ねながら新しい自分へと向かう

月日の中で流れて行った名も知らぬ花

未来はもうこんなにも近くに来ていて

いつしか共に肩を並べて歩いている自分に気が付く

今では柿を捥ぐのもいとも容易くて

それを少し残念に思うのか

自分でも分からぬまま

裂いた皮の間から

滴る果肉を啜っている










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by _kyo_kyo | 2014-02-04 02:08 | | Comments(2)