人は矛盾する生き物だから
それを肯定しようとすると無理が生じ
否定しようとすると惨めになる
不思議なものだな
人が知恵を持ったところから
私達の罪は始まっている
鳥の様に飛びたいと願い
豹の様に走りたいと願い
魚の様に泳ぎたいとも願う
彼らはそのどれ一つとして欲したことなど無いだろうに
欲張りな人間は
そのどれをも己の物にしたいと願う
無心であれよと説きながら
一瞬たりとも煩念を捨てきれない
そのくせ外では涼しい顔の仮面のまま
それを美徳と信じ込ませようというのか
代わり映えの無い毎日の中で
時折疼くように遠い過去の瘡蓋が自己主張すると
記憶の淵から銀色のレールが浮かび上がり
一本のラインが過去から未来へと
途切れる事無く繋がっているのが見える
そうやって暫し自分の歩んで来た道を確認すると
また何事も無かったかの様に
安心して次の道へ進もうと思うのだ