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すべての愛しい存在へ

あなたは綴るよ

つれない恋人のことを

報われないその想いと

蜘蛛の銀糸に絡め獲られたように

身動きの取れなくなった己の感情を


綴りながらあなたは呟く

こんなに想っているのに

何故あの人には伝わらない

あの人をこんなに理解しているのは

この世に唯ひとり私だけなのに


そうして幾度となく己に言い聞かせるのは

いつかこの想いはきっと報われる

またあの頃と同じように

真っ直ぐな瞳で私だけを見つめてくれる

そうでなければ余りに自分が可哀想じゃない

行き場を失くしたこの想いが可哀想過ぎるじゃない

そうしてまた綴る言葉にはらはらと涙を零す


いつまでそんな日々が続くのだろう

一日が二日となりやがて三日も過ぎ

それはついには一と月を数え

けれど想いは弱まるどころか

より鋭く痛みを増し

もうこれ以上耐えられないと

どうかこの苦しみから解放してと

何度も壁に体を打ちつけながら呻き続け

なのに痛みはその頂点を知らない


どんなに辛い失恋もいつか忘れる時がくると

訳知り顔で語る他人の言葉に涙し

それでも一番辛いことは

この底知れぬ苦しみでも

胸を貫く痛みでもなく

やがては全てが

唯の思い出に変わってしまうことなのだと呟く

あの懐かしい笑顔も

胸震わす声も

指先から伝わる温もりですら

忘れてしまう日がくることなのだ


それでもいつか痛みは引くだろう

絶え間なく胸を抉リ続けていた鈍く鋭い痛みが

ある日突然台風のように過ぎ去ったことを知るだろう

それをひどく切なく思いながらも

自分を醒めた目で眺めている

もう一人の自分の存在に気がつくことだろう

それが焼けるように辛い恋の終わりなのだと

やがてあなたも知るだろう

どんな時でも変わらずに信じ続けていた

恋人はもう二度とあなたの元へは戻らない


恋の終わりがどんなに理不尽であろうとも

いつか全てが良い経験になると

訳知り顔で話していたあの日の誰かと同じように

ただそう感じる時がくるだろう

辛い恋に巡り会ったその瞬間から

もう次の自分が生まれていた

苦しみのどん底にいる時ですら

遠い空を仰ぎ見ながら

縁の不思議をただ幸せなことなのだと

理解できる時が訪れるようにと願っていた


こんなにも弱い存在でしかない自分なのに

まだ誰も気がつかない強さを裡に秘めていることに

いつか気がつくことがあるだろうか

今はまだ底知れずこんこんと眠り続ける

己の未知数を引き出せるのは

ただ無条件に己を抱きしめることのできるその腕


唯ひとり暗闇のなかで佇んでいるように思えても

その腕があれば同じように

彷徨う哀しい存在を抱きしめてあげることもできるだろう

闇に震える存在と共に語ることもできるだろう

そうしてまたきっといつか

違う誰かを好きになることができるだろう

辛い想い出を胸に

前に進む勇気が持てることだろう

有り難うと

過去の自分に向って

笑顔で言える時がきっとやって来るだろう
by _kyo_kyo | 2009-08-15 01:28 | | Comments(0)
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