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ある冬の日に

幼子が母親にしがみつく様に

心の内側を両手でしっかりと掴んでは

そのままそっと揺すってみる

唯それだけの事なのに

内側からほんのり温かくなってくる


もうずっと長い間

惰眠を貪り続けていただけの感情が

ゆっくりと目覚めては

やがてとくとくと確かに脈打ち始める


今まで何処にも収まらなかった心が

ぴったりの手袋をはめた時のように

自分の内側にするりと収まり行く 

その思いもかけない心地良さ


心の内側を掴んだまま

吹き抜ける風と共に

灰色の街並みを駆け抜けては

オレンジ色に点滅する工事現場の脇を通り

すっかり葉を落として

シュールな姿を見せはじめた

街路樹の影さえも踏みしめて行く


一陣の風に彷徨う心を乗せ

そのまま何処までも思いを飛ばせてみても

この手をしっかりと離さない限り

もうけっして迷い児の様になる事など無い
by _kyo_kyo | 2010-04-12 06:05 | | Trackback
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