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夢見るダイアモンド 13-4

            ☆ ☆ ☆

「私には、柳瀬さんがとっても幸せに思えます」
美沙の言葉に、それまで作品を手に取って眺めていた弘喜も顔を上げた。
「一つ一つの作りが細部までとても丁寧で、素人の私にもしっかりした仕事なのが分ります。どの作品を拝見しても、それぞれに個性的なデザインで宝石がより美しく輝いていて、そんな仕事を天職となさってる柳瀬さんはとても幸せだなって感じます」
生意気言って済みません、と頭を下げながら美沙が言う。
「そうですね。自分では意識したことは無かったけれど、そう言われてみると好きな事をやって毎日暮らしているんだから、実際その通りでしょうね」
「趣味が仕事になると幸せとは言えなくなると良く言われるけれど、叔父さんの場合に限っては絶対そんな事はないものね。寧ろ仕事に没頭している時が至福の時間でしょう」半分茶化すような、けれど優しい眼差しで叔父を見つめながら弘喜が言う。

こういう関係って良いな、と思いながら美沙は弘喜と叔父を見ていた。二人のやり取りを見ていると柔らかな心地になってくる。
子供の頃何も知らずに、ただ病室で林檎を剥く母の傍に座って甘酸っぱい匂いを嗅いでいた時の心地と、何だか少しだけ似ている。
優しい色のマベパール、キラキラのエメラルド、情熱のルビーに、艶やかなオニキス。どれも皆それぞれに美しく、再び三人は大好きな玩具を与えられた子供の様に、様々な作品を前にいつまでも飽く事無く語り続けていた。
by _kyo_kyo | 2011-06-24 15:19 | 小説 | Comments(0)
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