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夢見るダイヤモンド 15-3

少女を無事送り届け、帰宅後開口一番「相手に大事が無くて良かったね」
労わるような隆史の言葉が有難かった。
「うん。今日はごめんね、助かったわ」

隆史へは大体の経緯は車の中で説明していたし、先方の両親への説明でも納得した様子だった。
少女の怪我も大したことは無かったし、何かあったら連絡を下さいと言って連絡先を告げたのだが『娘も前方不注意ですから。それよりそちらのお怪我こそ大丈夫ですか』と逆に少女の母親に労わられてしまった。
「優しいご両親で良かった」美沙の言葉に隆史も「うんうん」と頷く。
「それよりひどい擦り傷だけど、骨とか大丈夫なの」美沙の様子を心配そうに見ている。
「痛いよぉ。でも動けるから骨には異常無いと思う。ただ明日になったら体中紫色に腫れそうだなあ」
「まあ、湿布して暫くは大人しくしとくんだな」と言うと「これに懲りたら夜に怒って家から飛び出さないこと」と釘を刺されてしまった。
その晩は久しぶりに隆史の腕枕で、痛みをこらえてしがみつく様にしているうちに、気を失うようにぐっすりと眠っていった。
by _kyo_kyo | 2011-12-01 05:03 | 小説 | Trackback
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