夢見るダイヤモンド 16-3

突然押しかけたりしたら先方に失礼だろうか、一応電話を入れるべきだろうか。
一瞬迷ったがお詫びがてら傷の具合が聞ければそれで良いのだから、玄関先で済む事だとそのまま訪問することにした。

インターホンを押す手が心持ち緊張する。昨夜は隆史がいてくれて何もかも彼任せにしていたことに改めて気が付いた。
「はい」小さな声がして、ドアから出てきたのは意外にも学校に行っている筈の彩乃ちゃんだった。
一瞬誰か分からないという表情だったが、美沙に気が付くと直ぐに「おばあちゃん」と大きな声で家の中に取って返して行った。

「どちら様ですか」と言いながら奥から現れた老婦人に昨夜のことをかいつまんで話す。
「昨夜の事は娘から聞きましたよ。あらあら、あなたも大変だったのね。どうしましょうその顔の怪我」
そう言うと孫娘の方を振り向いて「お姉さんの顔に怪我までさせて、御免なさいは?」と叱りつける。

「私は大したことないですから。それより彩乃ちゃんの怪我は大丈夫でしたか」
慌てて美沙が遮る。
「娘が過保護なんですよ。今日だけ大事をとって休ませたんですって。
それなのに学校の役員会があるからって自分は学校なんで私がこの子とお留守番」
言いながら孫と顔を見合わせてうふふと笑う。
チャーミングなおばあさんだなあ、と彩乃ちゃんの事情も分かってほっとする。

「この顔の絆創膏、そこの喫茶店のママさんが貼ってくれたんです。実際は擦り傷なんで本当に大したことないんです」
あらまあ、と老婦人がにこっと笑顔を向ける。
「あの人お節介でしょ?でもとっても面倒見が良いの。客商売だからってのもあるかも知れないけれど、
私には損得抜きで付き合える数少ない友達の一人なのよ」

帰り道、お詫びに持って行った菓子折りの代わりに、自転車の前籠にはリンゴやグレープフルーツがどっさり積まれていた。
「これじゃあ、お詫びにならないよ」自転車を漕ぎながら呟く美沙ではあったが、
その表情は行きとまるで違って生き生きとしていた。






      ☆更新が大変遅れています、
       まだ読んで下さる方がいらっしゃったら本当に申し訳ないです。
       出来れば来年中には完成を目指します
       (本当は今年中にと言いたいのですが自信がないので)
       平にご容赦をお願い致します。

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by _kyo_kyo | 2014-06-10 19:44 | 小説 | Comments(2)
Commented by umi at 2014-06-29 17:45 x
続きが載ってるではないか!と思い読みました。
ゆっくりでいいから続けてね。
物語だいすきなんだー
Commented by _kyo_kyo at 2014-06-29 21:27
これ、今までで一番苦戦してます(笑)
完成は予定では去年の春だったはずなのに。。

うみさんの励ましを糧に、頑張ります^^
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