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乞食

彼女は言った

疲れ切って眠る男に「乞食」と

平然とそう言い放った

友人達と大声で笑い合う彼女の無神経な顔に

思いきり水をかけてやりたい

水差しを手にした私は思わず立ち尽くしていた


別の男は酷く凶暴だった

真っ黒な顔にいつも目だけが異様に光り

獣のように怒った表情を浮かべては

誰彼見境い無く飛びかかろうとしては仲間に諭されていた

辛い目にしかあわなかったのかも知れない

同情はしないけれどそんな気がした

「こいつ、いつもこんな風なんでごめんね」

仲間が代わりに謝っていた

あの人達がついている間は彼もきっと大丈夫だろう


白い髭を仙人の様に伸ばした男もいた

「この人凄いんだよ、俺達の中で年金手帳持ってるのこの人だけ」

仲間が自分の事の様に自慢気に話してくれた

「見るかい」仙人に聞かれて私も笑って答えた

「本当、凄いですね」


寒さをしのぐ家も無ければ家族も持たない

いつ何処で凍え死んでもちっとも不思議では無い

けれど心の奥底では

そんな彼らに強い共感を覚えながら

少しだけ羨んでいる

「乞食」として生きる道を選ぶしかなかった彼らの人生

そんな風にしか生きられない彼らの人生

私の人生なんてまだまだずうっと甘っちょろい

そう思いながら

今夜もガードレール下で

ぼろ布の様になった体を横たえ

浅い眠りに就くであろう

彼らに思いを馳せている
by _kyo_kyo | 2012-11-30 03:09 | | Comments(4)
Commented by yuuki-555 at 2012-11-30 10:53
 人の生き様、生き方、その現在を見る、知るって大切ですよね。
たとえ、目を背きたくても、見なければならない生き様があります。

 kyokyoさんの、詩は、本当に中身のある、考えさせられる詩で
す・・・。
 僕も、常に、人を見ながら、あぁなりたい、こうではいけないと思い
ながら、生きています^^

 素敵な「詩」でした~・・・。              ゆうき  ☆彡
Commented by _kyo_kyo at 2012-11-30 22:52
詩へのコメントは、やっぱり嬉しいものですね。
有難うございます。
ちょっと変なイメージの詩かなと思いましたが、
良い読み手に恵まれると詩も本望です^^
有難うございます。
Commented by enzo_morinari at 2012-12-03 03:33
_kyo_kyoさん、Monday Blueにおはようございます。

凛としている。それでいてあたたかい。ここ数十年、このようにも心の奥深くに届いたことばはありません。

自分が「甘っちょろい」などと考える必要はこれっぽっちもありませんよ。やに下がった大甘ちゃんと「オサレ・スウィーツ」さんが大手を振ってそこいらじゅうを歩きまわっているんですからね。彼らのほとんどは「3.11」直後は「絆」と「友愛」を声高に叫んでいたでしょう。数ヶ月は。おそらくは「乞食」とほざいた下衆外道女も。それが世界というものの実体です。そても残念ですが。
Commented by _kyo_kyo at 2012-12-04 03:05
morinari様、コメントを有難うございます。
若い子が「乞食」という蔑称を口にしたことに驚きました。
そのことが頭から離れず、この題となりました。

この題を反対される方もいらっしゃるでしょうが、
あの時の衝撃そのままを表すにはどうしてもこの題名でした。
あの女の子も、もっと人を思いやれる人間になってくれていると良いなと思います。
そして私も他人の痛みの分かる人間であれたならと願います。
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