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末期癌と闘う猫 を介護する方達に寄せて

あまりにも検索で、「末期がんで死んだ、愛猫くり」の記事に来て下さる方が多く、
再度、くりが癌だと知った時の苦しみ、くりとの事を思い出しながら、
猫に限らず、少しでも同じ苦しみ悩みに陥っている方の為になればと思いながら書かせて頂きます。

私の娘は色々と過去の方達の体験談を読み、
手術することで猫が人間不信になる場合がある事を恐れ、
手術はしたくないと言いました。

私は、自分が胃カメラを飲んだり、子宮の手術をしたことで、
医者や看護師に言葉で説明されていてもこんなに苦しく辛いものを、
何も分からない動物にすることの辛さを考えてしまい、
やはり出来ないと感じてしまいました。
(もっとくりが若かったら、手術で治る可能性が限りなく高かったなら・・・
答えはもしや違っていたかも知れません)

また、手術しても家に戻って来られない場合のリスクを考えると、
それはあまりに辛いことだとしか考えられなかったのも事実です。
無論医術は日に日に進んでいることでしょう。
そして心ある獣医の方も沢山いらっしゃる事と分かってはいます。
それでも、最後は、出来る事ならばやはり家で逝かせてあげたいと思ってしまったのです。

くりは自分の生を見事に全うしてくれました。
私は彼女の生きざまを誇らしく思います。
癌と闘う猫、の視点からすれば、もっと違った選択肢もあったかも知れません。
何が本人の為だったのかなんて誰にも分かりっこありません。
どんな選択肢を選んだとしても、必ず後悔は残ります。
家族の一員、と思っていれば尚の事、辛い時間や苦しい思い出に最悩まされます。

また、自宅介護を選んだ場合の大変さも覚悟しておいて下さい。
膿は悪臭を放ちます。最初はペット用のおねしょシートを切って体に撒いていました。
シートがずれないように、体の上からは伸縮性のある腹巻やネックカバー(人間様です)を使いました。
なかなかうまくいかなくて試行錯誤しました。
一番良かったのが伸縮性のある包帯を左右にクロスして、無理な場合は右に撒いて留め、また左にも巻いて留めました。その上から自分で包帯をずらさない様に、服の様にカバーを着せていました。
彼女はこれに慣れると、大分身軽に動けるようになってくれました。
本当に悪化したのは腫瘍が二つになってからで
、朝、晩のシート替えでは膿も血も吸いきれず、
いつからか人間用の尿取りパットを巻く様になっていました。
これは動きにくかっただろうとは思いますが、悪臭を逃さず、あたりを汚さない為、
横になる事の多くなったくりにはきっと快適だったことと思っています。

昼間誰も家にいない時間が多く、
私は朝勤と夜勤があった為、何度か様子を見てあげる事も可能でしたが、
実際は嫌がるくりの傷口に消毒をし、最初はキッチンペーパーで巻くだけで済んでいたのが、
胸の部分におむつの様な物を巻いてあげるような状態になって行きました。
実際に頭で考えていたらきっと出来なかったことだろうと思います。
だから最後まで一緒にいてあげることが出来たことを幸せだと思っています。

それでも、本当にささやかな事でも全てそうで、
もっとこうして上げれたんじゃなかったか、
あの時、こうしてあげた方が良かったんじゃないか等々、考え出すときりがありません。

くりの発病から死まで、私もたくさんの方々のブログを読んで参考にさせて頂きました。
直接お礼を言う機会はありませんが、ここであらためてお礼させて頂きます。
辛い体験を、敢えて書いて下さって有難うございました。
中には手術に踏み切って、そのまま実家に帰る事の叶わなかった猫さんもいましたね。
どんなにご自分を責めた事だろうと思うと、読みながら涙が溢れました。

それでも、やはり私達は乗り越えて行かなくてはならないのです。
その為にも、悲しみに押しつぶされてしまわないで下さい。
思いっきり、ご自分を責めてください。けれど必ず立ち直って下さい。
あの子達は、あなたが忘れない限り、きっとあなたの傍にいてくれます。

それは悲しみの果てから生まれた、
この世に生を持つ者だけが与えられた、
たぶんではありますが、かけがえの無い幸せな時間なのではないでしょうか。

私は、若くして事故死した、たんたんも、狂い死にした母猫さくらも、乳癌で逝ってしまったくりもみんな愛しています。
いえ、本当は生まれた時から関わってきた、野良犬、野良猫、
そして子供の頃から一緒に過ごした小鳥や猫、犬たち、みんな決して忘れません。

それは無論ずっと覚えているものでは無く、本のページをめくる様に、
あの子達の生き様が、ふと何気ない瞬間に浮かんでくるのです。
後悔と愛情が、同じように溢れ出す瞬間が、確かにあるのです。

あなたの愛猫、愛犬もどうぞ幸せな一生でありますように。
最後に彼らが求めるのは本当に愛情以外の何物でもありません。
そしてこれを読んで下さっているあなたも、どうか悔いのない介護を送れますように。

蛇足ながら最後に、里子に出したくりの兄弟がまだ元気に金沢にいるというお便りを頂き、
家族全員嬉しく思っております。
男の子でしたが小さい時は本当にくりと見分けがつかないほどの可愛さで、
今は、お父さん猫(この子もまだ元気です)をちょっと男前にした感じで可愛いです。
みんなまだまだ元気でいてくれると良いなあと思っております。
by _kyo_kyo | 2016-04-05 20:37 | 雑記 | Trackback
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