もう信じるまい
何も期待しまい
虚しい思いに囚われまい
そう呟きながら
何度裏切られ
何度同じ過ちに沈み
どんな過剰な甘えを抱き
人の世を泳ぎ続ける
虚しい思いは人を縛る枷となり
我と我が身を深遠の淵に沈めて
ほくそ笑む愚かな我が心
朝露の美しさに心洗われながらも
深紅の毒杯に心痺れさせ
人の愚かさを我が身の愚かさに塗り重ね
そうやって幾度と無く騙し絵の扉を開く
この世は誰かの見る儚い夢
近づくとゆらりと一瞬で消え去る蜃気楼
そうしてけたたましく変化するサーカスのイリュージョン
降り始める雨の最初の一滴が
朝の訪れに最初にほころびはじめる花びらのたてる僅かな音が
こっそり朝帰りの爪先立ちの足音と重なり合い
目覚めへの密やかなハーモニーを奏でる
そうやってまた新たな自分が再生され
心の中に湧き起こるのは
穏やかな目で見つめ
あるがままを受け止めようとする小さな思い
私の欠片