人気ブログランキング | 話題のタグを見る

あの時話しかけたのは

あの時話しかけたのは

あれは確かにあなた

知らない振りして

小走りでするりと脇すり抜けた

おかっぱの髪揺らしながら

そのままの若い鼓動で


送ろうか

この季節の輝きを

歌おうか

この眩しい日差しを


季節はいつも懐かしく

遠ざかる情景の中にとり残されたまま

蜃気楼のように近づいたかと思えば

また遠ざかっていく


ガラス玉に閉じ込められた気泡のように

思い出が密やかな溜息を漏らす

透き通った輝きが

共鳴してちりちりと音を立てる

時折取り出して鈴のように振ってみると

耳打つ音色に懐かしい景色が

幻のように浮かんでは消えた


ひと時の静寂の中を

甘くほろ苦い思い出が

さらさらと流れていく

誰かの立てた笑い声や

そっと流されたままの涙が

閉じ込められた時間の中で

結晶となって光っている


通り過ぎた透き通った季節の中に

そっくりそのまま閉じ込められて

今も変わらず輝いている
by _kyo_kyo | 2008-07-25 08:46 | | Trackback
<< 気持良い風 歌声 >>