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ささやかな幸せ

少し幸せな夜は

柔らかな温もりと

穏やかな寝息に包まれている

こんな何気無い日常が

心の底にまで浸みてくる


幸せは

ほんの目の前に転がっていて

でもあまりに日常的過ぎて

いつも見落としている


たとえば玉ねぎの皮を剥きながら

涙が止まらない

その目の痛みを

感じるということ


歩きなれた靴が壊れ

新しい靴を買いに行く

その為に乗る電車の

切符のつるんとした手触り


私が笑うと

誰かが笑ってくれる気がして

誰もいない所で笑ってしまう

それって傍から見たら結構不気味

でも私にしたらささやかな幸せ

多分 全てがそういうこと
by _kyo_kyo | 2012-04-27 04:48 | | Comments(12)

鎮魂歌

誰か抱きしめて

こんな私を

もう大丈夫だよと

耳元で囁いて


誰か教えて

こんな私に

怖がらなくていいんだと

何もかもがまやかしの様な世界で


誰か掬って

こんな私を

何度も繰り返す悪夢は

深い悔恨と魂への挽歌


どうして肉体はこんなにも脆く

けれど魂はもっと儚い

何度も繰り返す悪夢が

泡の様に押し寄せて

少しずつ心を押し潰す 


曇天の空は心の内側まで映し出すようで

一歩ごとに体の芯も重くなる

        
置き去りにしてきた悔恨が

ちょろちょろと影のように尾を引いて付き纏う

いつか私が死んだ時

あれも一緒に棺桶に閉じ込めてしまおう


地獄の様な猛火に焼かれ

やがてはお前と共に灰になろう

それまで当分は

まだずっとこのままで

こちらも覚悟を決めて

とことん付き合ってやろうじゃないか
by _kyo_kyo | 2012-04-24 02:51 | | Comments(1)

春は朧

柔らかな桜の花びらが

雨に打ち据えられ はらはらと散り急ぎ

失くしたものを惜しむ気持ちが

後から後から湧き上がり

最早とどまることを知らない


風雨に晒され枝を揺らしながら耐え続ける

桜の樹の無骨な姿とは対照的な

薄墨のような淡い花びらの 今年の行方を追い

想いは過去を遡り

過ぎ去りし日の記憶の中をいつまでも駆け巡る


儚く美しい一夜の夢よ

やがては散り往く人生よ

春の夜のひとときの夢が

花びらに浮かんでは泡のように消えて行く


この世はやがて終わるから美しいの

一瞬で散るからこんなにも切なく輝けるの

桜は今年もまた満開に花を開く

やがて散る花びらが

こんなにも美しいなんて

今年の桜はいつもより儚く散って行くようで

去年より少しだけ

桜を見上げる時間が長くなっていた




平成24年度 栃木県芸術祭文芸賞 応募作品
by _kyo_kyo | 2012-04-19 11:07 | | Comments(2)