人気ブログランキング |

<   2012年 08月 ( 8 )   > この月の画像一覧

白い蝶

澱の様な沈黙の中で

浄化しきれない言葉が

生まれる傍から落ちて行く


生きる重さが

拭った汗を吸い込んだ

タオルの中で足掻いている


知らぬうちに蝕まれた心が

ぎしぎしと壊れかけた

ぜんまい仕掛けの

時計の様な音を立てる


目の前を白い蝶がひらり

その軽やかな飛翔に目を奪われる

陽光の中に身を晒し

白く光りながら何処までも飛んで行く

その姿に凛とした美しさを想い

この心もあの様に

落ちるより飛翔したいと思う


青く輝く空の中を

何処までも舞い続け

永遠の彼方へと

飛んで行けたならと願う
by _kyo_kyo | 2012-08-31 01:25 | | Comments(4)

遠い記憶 Ⅱ

零れる涙を掬って

そっと唇に押し当てると

幼い頃の しょっぱくて

懐かしい味が滲んできた


瞼の奥に洗い立ての白いエプロンと

それをきゅっと締めた小柄な母の笑顔が広がる

赤チンをいつも塗られていた膝小僧

凍える様に寒くても逃げ回って

決して履きたがらなかった毛糸のズロース

いつも途中で折れてしまうクレヨン

塗り絵をしながら母のそろばんを玩具にして

折れたクレヨンを乗せては

ちゃぶ台の上を自動車の様に走らせては遊んでいた

陽だまりでは穏やかな性格の飼い猫のチルが

白い大福餅みたいに丸くなって寝っていた


時折、子供の無邪気な残酷さで

尻尾を掴んでひどく引っ張り回してみても

一度も怒ること無く 

迷惑そうな素振りさえも見せずに

母とチルと陽だまりと

全ての世界がその中にあって

そうして日の暮れる頃には

家路をたどる父の靴音を心待ちにしていた


唇に沁みる涙の味は

忘れかけていた切なさと

温かさを教えてくれる

遠い昔のけれどとても大切な記憶

いつまで傍にいてくれるかな

ずっと傍にいてくれると良いな

唇に沁みる涙の味が

遠に失くした過去の思い出を懐かしんでいる
by _kyo_kyo | 2012-08-19 18:29 | | Comments(0)

しっとりと打つ雨は  Ⅱ

触れた瞬間ダマとなり

羽織る上着を滑り 心を滑り

ほろほろ転げ行く様の 何と優し気なことよ

傘を差さずに濡れ行く私に

雨は優しく打ち続け

あやすように、語るように、遊ぶように

雨が天から降り注ぐ夜 心は宙を舞った

悲しみは苦しみを招き

苦しみは切なさを拾い やがてゆっくりと

シンフォニーを奏でることを

君は知るだろうか


風は頬をなでながら若葉に語りかける

あの風に乗って心を羽ばたかせよう

若草の萌え出る姿に心を重ねよう

足元に転がる小石の

雨に濡れる様さえ穏やかな夕暮れには

もっと自分と向き合ってみよう

何が正しくて何が間違っているのかなんて

一体誰が決めたのだろう

頭を下にして世界を逆さまに見れば

ワイワイ騒ぐ人の群れの

何と無意味で滑稽なことよ


この世は悠久の大河の流れ

みんな世界の流れのままに生きている

そのサイクルの中で

同じ終着駅に向かう私達に

何の違いがあるだろう

太古から綿々と繋がる時の流れの中で

私達はそっくりそのまま抱きしめられている

その大らかさに気がついた時

荒んだ心が静かに和らいで行く

穏やかな時の流れの中で

萎れた花が頭をもたげる様に

命が息吹を取り戻す

儚いからこそ更に輝ける命の尊さ

もっともっと輝ける

この儚くも尊い存在よ
by _kyo_kyo | 2012-08-18 20:50 | | Comments(0)

惜別のうた  ・・・ 日々の思いをⅡのmimiさんへ

言葉の出ない洞窟の中で

己の無力さを思いながら

打ち寄せる波に洗われ続ける孤高の灯台を思った

魂は青白く光りながら

濡れた洞窟の中を蛍の様にふわふわと飛んでいた

さよならの言葉はうまく言えなくて

涙が後を追いかける

いや、泣いてなんかいない

泣く訳がない

鍾乳洞の濡れているのは涙では無く

白く輝く結晶は地下水の滴りのせい

あなたの浮遊する洞窟はきっといつもこんな風に

長い年月を掛けながらきらきらと結晶を重ね

生きることを愛しながら 生きる苦しみに耐え

何よりも皆に愛されていた

蛍の様に浮遊する魂はどこまでも優しくて

あなたの心の高みにまで案内してくれるようで

いつか私もそこへ行くよ

そこまで登れるよう胸を張って生きるよ

荒波に耐え続けた白く輝く灯台の様なあなたよ





ブログ友「日々の思いをⅡ」 のmimiさんが長い闘病生活に終わりを告げられました
              どうか彼女の魂の安らかなることを

by _kyo_kyo | 2012-08-16 04:56 | | Comments(11)

初恋

心に残る映像

振り向いた君の横顔

風が吹いていたあの日の午後


気だるい体温の中で

制服が蒸れた様に熱を発し

君の髪だけが涼しげに揺れて見えた


歩幅はいつも同じ

急に走り出したりはしない

いきなり立ち止まったりもしない

特別な事など何も起きない


君の笑顔が瞳に焼き付いて

心の奥でいつまでも輝いていた

いつか映像は思い出に変わり

思い出は美しく煌めいていた


手を延ばせば届きそうな君に

触れることも出来ず

鞄の蓋を閉めて教室を後にした


もう二度と会うこともない君の横顔を胸に

歩幅を変えることなく

振り返ることもないまま

教室を後にしていた
by _kyo_kyo | 2012-08-14 03:38 | | Comments(11)

切ない

私は寂しい

あなたのもうこの世に存在しないことが

私は悲しい

もう二度とお日様のような笑顔に出会えないことが

私は切ない

あなたを慕う友人の

切なさに満ちた嘆きの声を聞くことが
by _kyo_kyo | 2012-08-11 00:43 | 呟き | Comments(2)

夢見るダイヤモンド 16

朝の日差しが眩しい。
隆史は先に起きて会社に行ったようでリビングに「仕事に行きます。今日は無理をしないように」とメモが残されていた。
優しいとこあるんだよなあ・・・と昨夜の事を思い出す。
不安な気持ちを抱えて眠りにつこうとする美沙をかばう様に差し出された腕。
すがるように隆史の腕に身を委ねながら見上げると、
もう限界だったのだろう、すでに寝息を立てながら夢の国の人となっていた。
その腕を引っ張る様に自分の胸に抱きしめて背中を隆史の身体にぴったりと押し付けながら眠りについた。
「体中痛いよ・・・」時々美沙が呻いてもピクリともしない腕ではあったけれど。

ゆっくりと掃除機を掛けながら、擦りガラスのお皿に置いた銀のピアスに目が行く。
掃除が終わったら出かけたい様な陽気だけれど、右の膝下と右腕、それに肩も打ったようで動く度に体中が悲鳴を上げる。
そして昨夜は全く気が付かなかったけれど、おでこと顎にも赤く擦り傷が出来ていた。
掃除を終え、暫く居間で横になっていたが、どうにも落ち着かない。
本当にあの子は大丈夫だろうか、自分の今の現状と比較してみても少女の事が気にかかって仕方がない。
美沙は何とかジーンズとTシャツに着替えると、スニーカーを履き、痛む体を庇う様にのろのろと家を出た。
バスにしようか自転車にしようか少し迷ったが、待ち時間の必要のない自転車でゆっくり向かうことにした。
昨夜は暗くて気も動転していたが、家は割合い近い筈だ。
by _kyo_kyo | 2012-08-06 03:26 | 小説 | Comments(0)

なりたい自分

元気でいたい

笑顔で在りたい

人を羨んだり

妬んだり

蔑んだり

自分を卑下したり

いじけたり

傲慢になったり

そういう毎日からは

あばよと何時でもおさらば出来る

ステップの軽い人間でいたい


毎日食べる米に感謝し

一杯の水に喉の渇きを潤し

他人を思い遣れる

度量のある

温かな人間でありたい

ほんのささやかな事にも喜びを見出し

みずみずしい感性をいつまでも忘れない

謙虚でありながら

もっと大らかな人間になりたいのだ
by _kyo_kyo | 2012-08-02 05:43 | 呟き | Comments(4)